日本を代表するガストロノミックレストランのシェフが
「Apanage Brut 1874」のペアリングメニューを考案しました
「Apanage Brut 1874」 の特別ペアリングメニューとシェフのインタビュー
朝比奈悟


実家は八百屋なのですが、小さい頃から料理が好きで家で作ることもありました。学生時代には地元のレストランでアルバイトし、その時のフレンチシェフに憧れて、特に高い帽子が格好良くて、それから料理人の道に入りました。
もちろんレストランなので美味しいものを提供するのは当然のことであると思っています。さらに当店はガストロノミーということで、美味しいだけではなく、料理の見た目、味、サービス、すべてが三位一体となって初めてガストロノミーレストランと言えると思っています。
料理については季節感を出すことももちろんですが、さらに私独自の料理、誰にも真似することのできない料理をお客様に提供しようということが念頭にあります。そのバランスが重要だと思っています。また季節によって同じ食材の味も変わってきますし、昨年と今年の食材の味の違いもあるので、食材を探して変えたり、ソースや盛り付けを変えたりしています。
魚は江戸前や九州のものをよく使いますが静岡下田の魚も好きです。野菜は青梅にお願いしている農家さんもいますが色々な場所のものを使います。
まずは非常に泡が細かいことに驚き、シャンパーニュらしいしっかりした気圧を感じました。また柑橘系の香り、特にグレープフルーツの香りなどが魚介のカルパッチョや甲殻類などに良く合うなと思いました。今回はタラバガニのショーフロワと合わせましたが、後味に残る熟成感と合わせるように甲殻類のクリームをコーティングしてバランスを合わせています。サモサの香ばしさもシャンパーニュに合うと思います。
有名なシャンパーニュなので、もちろん若い頃から知っています。まったく別ですがポメリーマスタードと同じ名前なので憶えやすくて。
今回のApanage Brut 1874でポメリーの印象はすごく変わりました。すごく美味しい!泡立ちも良いしボトルデザインも良いですね。
奥田透


小中学生の頃の夢は、学校の先生でした。高校は進学校に進んだのですが、勉強につまずき、大学進学を諦めざるをえなかった。16歳の時に、高校卒業後の就職先を考えなければならず、色々と悩みました。
そんな時に親戚が宮城県の塩釜市場で鮪の仲卸をしており、男性が包丁を持って魚をさばく姿を見て、かっこよく思いました。また、居酒屋でアルバイトをしているうちに、料理の世界に魅力を感じ、料理人の道に進むことを決めました。
料理の道は学歴も家柄も持って生まれた身体能力も関係なく、包丁一本で勝負が出来る世界に、無限の可能性を感じました。もともと手先は不器用で、ものづくりは誰よりも苦手でした。でも料理の世界は10回で出来なければ100回、100回で出来なければ1000回やればいいと、出来るまで続け、自分の苦手を克服したいと思い、今日まで続けてきました。
日本料理において、季節感を表現することは大事なことです。一年中食べられる食材が多くなり、季節感を感じにくくなっている現在において、人間が動物として本来必要とする季節の恵みを、きちんと料理で伝えることは一番大切なことだと思っております。
そして料理は何よりも美味しくなければいけません。素材や調理法、さまざまなことに神経を注ぎます。
また、伝統と革新を大切にしております。日本料理は行事や節句、祭りや祝いなど、何百年、何千年の歴史の中から生まれた日本の伝統を表現するものです。
一方で、決められた型や習わしだけをなぞるのではなく、その時代に合った変化や革新を常に探し、自分だけの個性や存在意義を料理で表現していかなければ、新しいものは生まれない。
そんな対比する禅問答のような問いを毎日考えながら、献立づくりをしています。
高貴な品格を感じました。ゆったりして懐の深さを感じる素晴らしいシャンパーニュだと思いました。よい味わいだと思います。ボリューム感がありながらもシャープさもあり、料理に幅広く合わせられると感じました。高級食材とも格が合い、プロフェッショナルな職人がつくりあげる完成度の高い料理と合わせるべきだと思います。
今回あわせたのは「きんきと筍の炭火焼 揚げた野蒜とうすい豆あん」です。きんきの高貴な脂やゼラチン、炭火で焼いた筍の香ばしい香り、揚げた野蒜の苦みやうすい豆のほのかな甘みなど、色々な要素がどれもこのシャンパーニュにとても合うと思います。例えば他にも、炙った鮪に塩と山葵、穴子松茸の天ぷら、鮑のステーキ、和牛のしゃぶしゃぶ、また、シャンパーニュなどが苦手とする唐墨やばちこなどの珍味も受け止められる奥行きと懐の深さがあります。
また料理だけではなく、このシャンパーニュを飲む場所や人もこだわりたいところだ。
私は約30年前、徳島にある「料亭青柳」さんにお世話になりました。
隣にあるカウンター割烹のお店では当時からワインセラーがあり、そこにはポメリーのキュヴェ・ルイーズがいつもありました。当時の私にとって憧れのシャンパーニュであり、いつかキュヴェ・ルイーズを飲みたい、いつかキュヴェ・ルイーズを扱える店を持ちたいと思っていたのを覚えています。ポメリーというメゾンは、常に新しい話題をつくりながら品格とプライドを保っているブランドだと思います。
髙木慎一朗


料理人の息子として生を受け育ったものの、料理人になる気は全くなかったのですが、学生時代に父が亡くなり、その後3年を経てようやく決心しました。
日本料理は季節感が大事と言われていますが、私が修業していた頃の季節感と今はまた随分違う部分があります。以前は金沢で獲れなかった魚が今は獲れるようになったりしていますし、逆に獲れなくなってきた魚もあります。
その理由は気候変動による生態系の変化なのか、人間による環境破壊なのかはわかりませんが、少なからず私たちは自然にその身を委ねているわけですから、それを無視して生きることはできませんし、思いのまま変えられるものでもありません。
ですから、自然に育まれた、その時々の最も美味しい食材を探し出し、それらを組み合わせて献立を考えることが良いと思っています。
優しい酸味と程よい旨みを感じた時に食材としては「のど黒」を思いつきました。
そして爽やかな木の芽の風味を合わせて、優しい旨味の組み合わせをイメージしました。
21歳の冬、初めて自分で予約して出かけたフレンチレストランが、父の友人であった坂井宏行シェフの「ラ ロシェル」でした。その際、ソムリエに勧められたシャンパーニュがポメリーだったことは今でも明確に覚えています。
人生を迷い悩んだ時期にそれを味わったことは一生忘れないでしょうね。
浜本拓晃


若い頃お世話になった方に警察官になることを勧められ、頑張って採用試験にも受かりました。その方が合格のお祝いに連れていってくれたイタリアンレストランが美味しすぎて、これまで食べていたパスタやピザは何だったのだろうと思うほど衝撃的でした。その瞬間、イタリアンシェフになろう!と決意しました。せっかく採用試験に合格したところだったのですが、人生が急展開しました。そのレストランにその場で直談判して働かせていただいたのがスタートです。
無いものはない、という言葉が好きです。ネガティブなイメージかもしれませんが、僕にとってはポジティブな言葉です。
今は世界中のものがスマホ一つで手に入る時代になりました。こんな時代だからこそ、選択肢を減らして自分にとって本当に大事なものは何か見極める能力が試されていると考えます。Instagramは料理の流行を教えてくれますが、それを取り入れても自分の料理になりません。僕の場合は自分が食べたものや見た景色、訪問した生産者さんと話したことでしか料理ができません。自分の経験にないものや、自分がお世話になっている生産者さんが作っていない食材は、わざわざ地球の裏側から持ってきて使う必要はないと思っています。
良く冷えた状態でApanage Brut 1874をテイスティングしました。最初の印象は軽やかで繊細なのですが、中盤からは熟成感と複雑味を感じました。この繊細で複雑なイメージをアカザエビに重ねました。ラヴィオリの中にはレンコンと生海苔が入っています。そのまわりにさっと火を入れたアカザエビ、全体をまとめるソースはアカザエビとマッシュルームの出汁をベースに、コブミカンの香りを少し忍ばせました。シャンパーニュの複雑味に合わせて、あえて複雑な構成にしました。
駆け出しの頃はイタリアワインを必死に勉強していたので、シャンパーニュまで勉強する金銭的なことを含めて余裕がなかったのですが、その時働いていたお店のお客様にシャンパーニュも良いものだから勉強してねと言われて、プレゼントしてもらったのがポメリーのシャンパーニュでした。あの時から、自分の世界にこだわらず広い視野を持てたと思っています。
酒井研野


僕の出身の青森は自然豊かな場所で、幼い頃から祖母や母の手作りの美味しい料理を食べて育ってきました。祖母の畑で野菜を育てた経験もあり、自分で考えて何かを創造することも好きだったので、料理人という仕事に興味を持つのは自然な流れでした。
僕にとって理想のコース料理とは、心地いいペースのジョギングです。マラソンだとしんどいしウォーキングだと物足りない。爽やかな並木通りを風を感じながら通り過ぎ、新旧の建造物が立ち並ぶ都市のエリアへ。視界が開けて明るくなったと思えば、海が現れる…そんな変わりゆく美しい風景を眺め、四季を感じていただきながら、心身共に整うようなお食事体験をしていただきたい。そのためには、食事の量や旨味、塩味を、緩急つけつつ、トータルでちょうどよく仕上げなければなりません。その点に特に気をつけています。塩味や旨味は、太陽の光のようなもの。ギラギラと照りつけられては、疲れ果ててしまいます。野菜のみずみずしさ、山菜の複雑味、日本古来の発酵技など、さまざまな食材、調理法を用い、工夫をしながら、お客様の状態が良くなるよう、心を込めてコースを組み立てています。
「京都𠮷兆」の徳岡邦夫氏にお声がけいただき、日本料理とシャンパーニュのペアリングの勉強会に参加させていただきました。さまざまな料理とシャンパーニュが提供されるなかで、最も印象的だったのは賽の目の生姜と「アパナージュ ブリュット 1874」の組み合わせでした。 生姜の辛さはシャンパーニュに含まれますが、そのマリアージュが入り口となってシャンパーニュの色々な香りをより鮮明に感じることができたのです。辛口のシャンパーニュは日本料理の穏やかでありながら、しっかりとしている薬味に寄り添い、余韻をやさしく伸ばします。
今回の料理はまた違ったアプローチになるのですが、「アパナージュ ブリュット 1874」の酸味や香り、旨味に料理のテンションを合わせることで、どちらかが立つのではなく、調和するといったことを目指しました。アンディーヴは日本料理ではあまり使わないのですが、山菜のような苦味とみずみずしさがある野菜です。ホタルイカは青のりの衣を纏わせて天ぷらにしています。熱々で旨味や油脂分があるホタルイカは、アンディーヴのフレッシュな魅力を引き立てます。ソースはヨーグルトと土佐酢ジュレを使用していますが、甘みのある白味噌も加えることで酸味が少し和らぎます。木の芽の香りは春らしさを演出し、少しだけ忍ばせた粉末のクミンがちょっと違った要素で立ち、ポイントとなっている。そんなイメージの一皿です。
1874 年にマダム・ポメリーが史上初のブリュットを生み出すまでは、シャンパーニュは甘口が主体だったといいます。辛口のフードフレンドリーなシャンパーニュの誕生は画期的で、食事の楽しみを広げたとも言えるでしょう。お客様にはその歴史を感じながら味わっていただけたら嬉しいです。
ハナ・ユーン


私にとって料理とは、単に食事を作ることではなく、人と人とをつなぎ、芸術のように真の感動を生み出す手段です。幼い頃から台所で過ごす時間が大好きで、新鮮な食材に触れ、自然の香りを感じ、味わうことに喜びを見出していました。キッチンに立つことは、私にとって最大の喜びでした。
12歳の頃、「シェフになりたい」という想いが芽生えました。料理を通じて人を幸せにできると信じていたからです。シェフの道は、特に女性にとって簡単ではありませんでしたが、家族の心配や助言にもかかわらず、私の情熱は揺らぐことはありませんでした。
決意を固めた私は、アメリカのカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)に留学し、料理の基礎を学びました。卒業後は、ニューヨークのジャン・ジョルジュでキャリアをスタート。技術だけでなく、哲学や料理の背景にある思考、チームワーク、そしてゲストとの関係性の築き方を深く学ぶ機会に恵まれました。2021年にスーシェフに昇格し、料理に対する考え方も一層深まりました。
その後、「フランスか日本で新たな挑戦をしたい」と考えていた時に、京都で働く機会を得ました。京都は、季節ごとに表情を変える食材と食文化が根づいた特別な土地。ここで出会った日本人シェフたちは、「自然の素材を最大限に生かすこと」「自然への敬意を持つこと」「地元の生産者との絆を大切にすること」を実践しており、その姿勢は私の料理観にも大きな影響を与えています。
私は、料理を通してゲストの五感を刺激し、記憶に残る体験を提供できる存在でありたいと考えています。すべての料理は、香り、食感、温度、味わい、そして盛り付けまで、ひとつひとつに意味があり、それぞれがひとつのストーリーを語るべきだと思っています。
京都・祇園という特別な土地で働くことは、私にとって誇りであり、大きな責任でもあります。京都は、日本の伝統や芸術、そして職人文化が息づく場所。ここで料理をするということは、この土地の歴史や文化に敬意を払いつつ、常に新しい視点とアイデアを取り入れていかなければならないということでもあります。
また、私は京都の食材を単なる「素材」ではなく、地元の生産者が丹精込めて育てた芸術品と捉えています。野菜、肉、魚、それぞれの背景には自然との深いつながりと、生産者の方々の真摯な努力があります。私はその想いを受け取り、料理という形で表現し、讃えることを何よりも大切にしています。
アパナージュ・ブリュット 1874は、洗練と明るさを兼ね備えたシャンパーニュで、丁寧に熟成されたクラシックな味わいが魅力です。繊細な泡立ちと、白い花や柑橘類を思わせるフレッシュな香りが広がり、心地よいミネラル感となめらかな余韻が印象的です。
このシャンパーニュに合わせてご用意したのが、「キャビアとディルのエッグトースト」です。一見シンプルに思えるこの料理には、奥行きのある味わいと食感のコントラストが秘められています。エッグトーストのなめらかさにキャビアの塩味、ディルの爽やかさが重なり、アパナージュ・ブリュット 1874の持つ酸味やミネラルと見事に調和しています。キャビアがフルーティーな香りを引き出し、ディルがミネラル感を際立たせ、まるでシャンパーニュが料理を優しく包み込んでいるかのような印象を与えてくれます。
このプロジェクトでは、京都吉兆の徳岡邦夫シェフとご一緒できたことが特に光栄でした。徳岡シェフは日本料理界を代表する巨匠であり、素材の本質を見極める力と、シャンパーニュとのペアリングにおける感性には深く感銘を受けました。この貴重な経験を通じて、料理人としてさらに学びを深めることができました。
ポメリーは、伝統と革新を見事に融合させたブランドだと感じています。創業者であるマダム・ポメリーが世界初の辛口シャンパーニュ「ブリュット・ナチュール 1874」を生み出し、その精神はアパナージュ・ブリュット 1874にも脈々と受け継がれています。このような歴史と背景を知ることで、ポメリーは単なるワインではなく、文化であり、芸術そのものであると感じるようになりました。
フォーハンズ・エクスペリエンス・イベントでは、ポメリー副社長のマイリス・ヴランケン氏をはじめ、日本のトップシェフやフードライターの方々と共に貴重な時間を過ごすことができました。この機会を通じて、シャンパーニュと高級レストランの未来について多くの示唆を得ることができ、私にとっては新たなインスピレーションの源となりました。
京都は、深い食文化と職人の技が息づく街です。ポメリーのシャンパーニュは、そうした京都の精神と響き合い、私の料理にさらなる深みと奥行きを与えてくれます。
「料理は人と人を結び、シャンパーニュは時間をかけてその絆を育む」——私はそう信じています。
今回のコラボレーションは、私にとってかけがえのない経験となりました。京都の伝統と地域の食文化に敬意を払いながら、ポメリーとともに新たな可能性を探り続けていけることを、心から楽しみにしています。
戸田直幸


幼少期の頃から積極的に母と料理を作り、また、家族での外食をした中で「食」というものがとても身近な存在となり、小学校を卒業する頃には料理人になる事を決意していました。
高校卒業後、大阪辻調理師専門学校で料理や経営を学び、専門学校卒業後大阪のホテルへ就職し3年間フレンス料理を修行させていただきました。その在職中にイタリア料理を食べに行き、そこで出会ったパスタ料理の美味しさに心を震わされ、それからイタリア料理の世界へ足を踏み入れました。
日本全国の素晴らしい食材を探し求めイタリア料理の基本である郷土料理をベースに組合せる事を意識し、特に旬の野菜に対し、その野菜のポテンシャルを最大限引出すよう常に考えております。
エノテーカ ピンキオーリでは、イタリア本店のリカルドエグゼクティブシェフと一緒に料理の試作を繰り返し行い(リカルドエグゼクティブシェフの意図を理解し、提案をする)唯一無二の料理を完成させております。二人の感性を合わせてより完成度の高い一皿を心掛けております。
Apanage Brut 1874は白い花と柑橘系の香り、エレガントな酸味の中に蜂蜜やブリオッシュの香ばしく複雑さがあるバランスのとれたリッチな味わいを感じました。
合わせる料理は、手打ちパスタを用いた冷前菜と考え、使用する食材はチーズ、根菜、ナッツとシンプルですが、チーズはミルキーなリコッタと炭で焼いたスカモルッツァの2種類、根菜はビーツ、そしてトーストしたピスタチオナッツ。
チーズのリコッタはパスタ生地の中へ入れカッペッレッティとして、炭で焼いたスカモルッツァはそのまま添え、ビーツはパスタ生地に赤い色と赤ワインビネガーと少し焦がした蜂蜜でマリネをした2種類に、トーストしたピスタチオナッツを砕いて香ばしさを加え、Apanage Brut 1874とお互いを引立て合える冷前菜に仕上げました。
ポメリーのシャンパーニュは多種多様なものがリリースされ、さまざまなシーンに合わせ華を添えて楽しめるシャンパーニュだと思います。
その中でも一番印象深かったのはRoyal Blue Skyです。
大きめのグラスに氷を入れて飲むスタイルに感銘を受け、また、甘味のある味わいもしっかり冷やす事により食中でも楽しめる新しいスタイルのシャンパーニュだと感じました。
金川大輝


学生時代に焼鳥屋でアルバイトをしていて、当時は焼鳥屋になろうと思っていました。とび職と両立して資金を貯めていたのですが、あるタイミングでもっとストイックに料理と向き合いたくなり、当時一番難しいと直感で思っていたフランス料理の門を叩きました。地元熊本や東京、フランスにも渡り、各店で獲得していった様々な仕事と語学も勉強していく中で、その責任感と新しい技術を学ぶ楽しさを重ねるうちに奥深さを知り、ゴールが見えないラビリンスにはまったというか、気づいたらやめられなくなっていました。今はその位フランス料理に没頭しています。
フランス料理としての技術、伝統的な料理、調理方法は大切にしています。例えばコルドン・ブルーやマトロットなどの料理、シュエ、ブレゼ、エチュベなどの調理方法など。基本はしっかりとぶれずに、それ以上は自由。例えばコンソメも技術はフランス料理に忠実に、でも素材や使い方は自由度を広げて表現したいと思っています。
食材についても今は国産のものがトレンドですが、産地にとらわれずに良いものを使いたいと思っています。輸入した鳩を使うこともあれば、群馬の羊も使います。フランス料理といえばのトリュフ、キャビア、フォアグラは好きですがほぼ使わないです。より存在感のある食材が沢山あると思っています。自由度を持ちながらクリエイティブになり過ぎず、美味しいフランス料理を追求したいです。
甘味を感じるリッチな味わいですね。アペリティフの一杯ではもったいないな、と。スッキリした印象もあるけれど料理に負けない濃厚さもあって、しっかりした香りのある料理に合わせるのが良いと思いました。
「榛名めん羊牧場 5才のマトン ハラミのあぶり
辛く作った羊のミートソース 羊のコンソメジュレ」
キャラクターが強い食材と合わせたかったので、魚ではなくしっかりした肉に合わせました。
羊も脂ではなく赤身の本来の味に合わせて、ミートソースの辛味、菜花のシャキシャキとした食感やポワローのフレーバーとも合う。まさにガストロノミーのためのシャンパーニュだと思います。
以前に勤めていたレストランでもポメリーは何度も飲んでいましたし、数年前に成城石井のシャンパーニュくじでポメリーが当たってテンションが上がったのを覚えています。
Apanage Brut 1874は味わいがしっかりしているので、長くねかせて将来飲んでも良いポテンシャルがあると思います。30年後のために取っておこうかな。
濵﨑圭介


姉の影響もあり小さい頃からお菓子を作るのが好きでした。市販のお菓子やアイスを食べ、何の知識もないのに再現してみて、失敗したらもっとこうしたらいいんじゃないかなって繰り返しやってました。
学校帰りに図書館に行ってお菓子の本や料理の本も借りてみてました。また、母が料理上手なのもあって、当時は、料理の鉄人が流行ってましたのでその影響は大きいですね。
高校も調理師免許が取れる学校に行き卒業後、都内のホテルに就職しました。
九州には素晴らしい食材が沢山あり新鮮な状態で届きます。それを一つひとつ手に取り、素材の特徴を捉え、そして適切に調理することを心がけています。
一皿の料理には、主役(メイン食材)とそれを支える脇役(付け合わせやソースなど)がありますが、それぞれの味や食感、温度、香りすべてのバランスが整っていないと完成度は上がりません。
レストラン同様、お皿の中でも食材同士のチームワークが大切です。
口に含んだ瞬間にコンセプト通りのシャンパーニュだなと思いました。きめ細かい泡、気品に満ちた味わいと繊細さですね。しっかりとした酸味があり、柑橘の香りと後から来るクリーミーな味わいはクオリティの高さを伺うことができます。
初夏のイメージで、アパナージュのボトルカラーも併せてイメージしました。また熟成感のある味わいに負けないように今回は宮崎県産のイセエビとジャパンキャビアさんのオシェトラキャビアを合わせました。ミキュイにすることで甘みが引き立ちキャビアの塩味で相乗効果を生みます。
そこに色々な調理法で酸味の強弱をつけた福岡県産の野菜を合わせ海老の甘味を更に引き立てています。ヨーグルトを使ったソースを添えることでクリーミーな余韻のシャンパーニュの味わいに寄り添うように構成しました。
料理を始めて間もない頃に、覚えたての洋食(自分ではフレンチのつもり)を家族に振る舞いました。自分の成長している姿や夢に向かっている姿を見せたかったんです。
まだまだ手際も悪く、見た目もイマイチでしたかね。
そんな料理の雰囲気を良くしてくれたのが、初めて買ったシャンパーニュポメリーでした。
ガラスのコップで乾杯したのが思い出ですね。でも、久しぶりに家族そろってみんなが笑顔で本当に幸せな気持ちになりました。